人と生きる ロボット新時代(13)ファナック専務執行役員・稲葉清典氏

(2023/11/24 05:00)

AIで自律性高め操作簡単に

―「2023国際ロボット展」での訴求点は。

「来場者の属性を問わず、『自社でも導入できそう』と言ってもらえるような現場での活用を連想できる展示にする。言うなれば、ブース全体が『アプリケーションモール』だ。ピッキング、電気自動車(EV)関連、工作機械との連携など幅広い用途での使用例を示したい」

―具体的には。

「高信頼性に加えて使いやすさの側面を強調する。目指すのは肩肘張らずに簡単に使えるロボット。直感操作、簡単設置、メンテナンスフリーが特徴で初めてでも簡単に使える協働ロボット『CRX』のほか、センシング機能と人工知能(AI)によって高められたロボットの自律性にも注目してほしい」

―自律したロボットのメリットとは。

「ビジョンセンサーなどと組み合わせることで、柔軟性が高まり人がお膳立てしなくても環境に適応する。最大の利点は周辺機器をシンプルにでき、システムを組む際の手間やコストを下げられることだ。さらに、AIでノウハウ的な調整を削減して簡単に使える」

―足元の自動化需要をどう見ますか。

「当社は8月に産業用ロボットの累計出荷台数100万台を達成した。最初の50万台までは約40年を要したが、残りの50万台は約6年だった。国内外で自動化需要が拡大していると感じる。市場の拡大と変化が起きる中、マーケットインの視点を主としながらも、そこに自社技術を合わせ込み開発を進める。世界中の営業や技術部門が顧客とのコミュニケーションを通して得た高精度なニーズが重要になる」

―自動化の目的にも変化が見られるようですね。

「従来は品質の安定や生産性向上によるコスト削減などが主目的だったが、事業継続に不可欠なツールとして相談いただく機会が増えている。日本では、加速度的に生産年齢人口が減少する。労働力不足や環境問題の解決に寄与したい」

―今後のロボットの役割をどう捉えていますか。

「ロボットを製造業を支える真のインフラの一つにしたい。ただあくまで主役は人。人がロボットや機械を活用して価値あるモノを作り出すことに貢献する。身近な存在だと実感できる使いやすさの側面が重要だ。協働ロボットのほか、センシングやAIといった要素技術を継続して高める」(増重直樹)

*取材はオンラインで実施。写真はファナック提供

(2023/11/24 05:00)

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