社説/能登地震発生から半月 2次避難・生活再建を急ぎたい

(2024/1/16 05:00)

能登半島地震の発生から2週間が経過した。多数の死者を数え、いまだに安否不明な被災者もいる。孤立集落は解消されず、約1万9000人の避難所生活が続く。災害関連死も確認された。避難所から被災地域外のホテル・旅館などへの2次避難を急ぎ、被災者の生活再建を加速したい。他方、生産を全面再開できない企業が少なくない。政府は被災者の生活や生業(なりわい)の再建に向けた支援を早急に実施し、被災地の復旧・復興に向けた歩みを進めてもらいたい。

石川県は15日時点でなお5万戸超が断水、約8700戸が停電しており、輪島・珠洲の両市と能登町では孤立集落が解消されていない。避難所では新型コロナウイルスやインフルエンザの感染拡大が懸念され、孤立状態や避難所生活の長期化により災害関連死が増えないよう支援活動を急ぐ必要がある。

政府は2023年度予算の予備費のうち47億円を支出し、当面必要な飲食料、燃料などの費用を手当てした。次の段階として、避難者の健康に配慮した2次避難を急ぎたい。政府は2万5000人分の2次避難所を確保した。速やかに移行し災害関連死を防がなければならない。

政府は23年度予算で残る予備費4600億円のうち1000億円以上を月内に支出し、インフラ・ライフラインの復旧や仮設住宅の確保、災害廃棄物の処理、中小企業・農林水産業・観光事業者などの再建支援を講じる。すでに雇用調整助成金の支給要件の緩和や、日本政策金融公庫による災害復旧貸し付けの金利引き下げも決めている。政府はこれら緊急を要する対策の執行に全力を尽くし、長期化が想定される被災地の本格的な復旧・復興工事に移行したい。

政府は今回の地震を大規模災害復興法に基づく「非常災害」に指定する方針を決めた。24年度予算で計上した予備費5000億円も1兆円に倍増し、インフラ復旧工事を国が代行するための措置だ。自治体の負担を軽減しつつ、政府には切れ目のない長い支援が求められる。機動的な予算措置を講じ、被災地に寄り添った支援を継続したい。

(2024/1/16 05:00)

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