産業春秋/株高なのに上場廃止

(2024/3/7 05:00)

6日の東京株式市場の日経平均株価は4万円台を維持し取引を終えた。過熱感も警戒される相場がどこまで上昇するかが今後の注目点だ。一方、この好調な株式市場から退場し株式を非上場化する動きも相次ぐ。

大正製薬ホールディングス(HD)は1月にTOB(株式公開買い付け)が成立し、4月9日の上場廃止を予定する。ベネッセHDも1月に始めたTOBが成立しており、4月以降の臨時株主総会を経て上場廃止となる見通し。

大正製薬HDは大衆薬が伸び悩む中、迅速に意思決定できる体制に改め、インターネット販売や海外事業を強化するという。ベネッセHDは、少子化により通信教育「進研ゼミ」などの利用者が減少する中、長期的に事業改革に臨める経営環境を整える。

上場企業は、株価上昇や株主還元といった短期的な利益を株主から求められる傾向が強い。両社は上場廃止により、中長期の視点で経営改革に取り組み、企業価値を向上させる道を選択したようだ。

足元の株高は、上場企業による自社株買いなど「株価を意識した経営」が寄与しているとされる。だが、それだけでは不十分だ。持続的な賃上げや成長投資など、中長期の視点も併せ持ちたい。

(2024/3/7 05:00)

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