社説/日米首脳会談 同盟深化も中国とは意思疎通を

(2024/4/10 05:00)

日米首脳会談が10日(現地時間)、米ワシントンで開かれる。対中国などを念頭に、安全保障や防衛、先端技術などの幅広い分野で新たな同盟深化の枠組みを打ち出す。11月の米大統領選に先立って枠組みを固めておくことで、同盟関係が選挙結果に左右されないよう備える狙いがある。ただトランプ氏の外交は予測不能であり、大統領選の行方には引き続き警戒したい。

他方、日米は対中国では対立一辺倒でなく、共通する課題で協調関係を模索し、決定的な関係悪化を避ける必要がある。

岸田文雄首相は9年ぶりの国賓待遇での訪米となる。中国の海洋進出や台湾への威圧、ウクライナ情勢は世界の安全保障を脅かしており、今回の会談を国際秩序の維持につなげたい。

バイデン米大統領は日米の同盟関係を深化させると同時に、日米を軸とした多国間協力の枠組みを固めることで、同盟や協調を軽視するトランプ氏との違いを鮮明にしたい意向である。

日米関係では、自衛隊と在日米軍との連携強化に動くほか、日本による防衛装備品の増産と輸出増、日米の共同開発・生産にも踏み込む。日本は2023年末に防衛装備移転3原則を改正した。ウクライナ情勢の長期化で砲弾やミサイルが不足しがちな米国への輸出を増やし、軍事協力の関与を深める。日米の新たな枠組みが、中国抑止ばかりでなく、ウクライナ支援の継続にもつながると期待される。

日米同盟を軸に多国間協力の枠組みづくりも進める。中国と衝突するフィリピンも交えた日米比首脳会談が11日に初開催される。インド太平洋には北大西洋条約機構(NATO)のような軍事同盟がなく、日米は日米豪印4カ国枠組み「クアッド」や東南アジア諸国連合(ASEAN)、島しょ国との連携も強化し、国際秩序を維持したい。

日米は人工知能(AI)などの最先端技術でも連携を強化しサプライチェーン(供給網)の中国依存を弱める。だが中国とは脱炭素や少子化など共通する課題もある。不測の事態を回避するためにも、習近平政権との対話は継続する必要がある。

(2024/4/10 05:00)

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