[ その他 ]
(2016/3/25 05:00)
「北海道の子供の多くは新幹線の絵が描けない。乗ったことがないし、見たこともないから」。10年ほど前、札幌財界のトップにそんな話を聞いた。今も鉄道が「汽車」と呼ばれる土地柄。思わずドキッとさせられた▼いよいよ明日、北海道新幹線が走りだす。まずは新青森―新函館北斗が開業し、2030年度末には札幌まで延伸する計画だ。九州から北海道までつながる高速鉄道網は日本列島の新たな背骨になる▼津軽海峡で隔てられた本州と北海道。海峡交通の歴史は北前船から青函連絡船へ。さらに洞爺丸事故を教訓にした青函トンネルの開通によって鉄道がつながり、新幹線にグレードアップする。北の大地にとっても新しい時代の幕開けだ▼北海道から空路だと飛び越えてしまいがちな東北、北関東との交流も盛んになろう。ビジネスや観光の好機を生かしたい。新幹線開業時のお祭りムードが一過性では寂しい。自治体の整備費負担を生かし、まっさらな発想と長い目で地域の成長につなげてほしい▼運行にあたるJR北海道の責任は重い。相次いだ不祥事が記憶に新しいだけに、徹底した安全管理を願いたい。次代の北海道を担う子供らが”かっこいい新幹線“の姿を描くためにも。
(2016/3/25 05:00)