[ オピニオン ]
(2016/10/24 05:00)
マイナンバー(社会保障・税番号)の個人番号カードの発行が1000万枚の大台を超え、利用拡大が期待される。国民の理解を得るために、利便性や活用方法を分かりやすく説明する専任のエバンジェリスト(伝道師)を設置してはどうか。
マイナンバーそのものはすでに通知されているが、カードは希望者のみに交付する。一時のシステムトラブルが解消されたことで、8月は1日平均7405枚の申請があった。9月の累計発行数は約1100万枚。これは計画の3分の1程度だ。
それでも1000万枚を超えたことで、カードを実際に利用する場面は今後、増えてくるだろう。民間のシステム事業者は「1000万枚あれば商売のタネになる」という。政府関係者は「1億枚を達成する」と目標を掲げる。
マイナンバーカードは表面に顔写真、裏面に個人番号(マイナンバー)が記載され、その横にICチップを搭載する。これらを使い、公的個人認証サービスとして本人であることを証明する「電子証明書」と、利用者が作成した情報が正しいことを証明する「署名用電子証明書」の二つの機能を提供する。
例えば通信販売などのオンライン手続きで他人の「なりすまし」を防止できる。またICチップには空き容量があり、一定のルールで利用可能。すでに先進的な自治体では公共図書館の利用者カードや、母子手帳のような子育て情報記録に使っている。コンビニエンスストアで本人かどうかを確認し、住民票などの証明書を交付する仕組みを作った自治体もある。
2017年7月にはマイナンバーの個人向けサイト「マイナポータル」が開設される。転居届などの一括処理が可能になるなど利便性も高まり、普及促進が期待できる。
マイナンバーが税や社会保障専用ではもったいない。個人認証を活用した新ビジネスを生み出すには、まず多くの国民がカードの存在と利便性を知ることだ。ここは仕組みを分かりやすく説明する「エバンジェリスト」の出番ではないか。
(2016/10/24 05:00)