[ 環境・エネルギー ]

パナソニックとテスラの“太陽電池連合”、国内最大の供給力に

(2017/2/7 05:00)

パナソニックは2017年夏、太陽光パネル事業で協業を決めた米テスラのバッファロー工場(ニューヨーク州)で太陽電池を生産する。19年に生産規模が年100万キロワットへ拡大すると、パナソニックの生産能力は現状から倍増し、国内首位に躍り出る。日本市場が縮小に向かう中、パナソニックはテスラという援軍を得て、成長著しい米国市場への挑戦権を獲得した。(編集委員・松木喬)

パナソニックからバッファロー工場への投資額は300億円超。15年度、滋賀県と島根県の2工場の生産能力を15万キロワット増強した当時の投資額は95億円だった。新工場は6・6倍の規模にもかかわらず、投資額は3倍超で済む。必要な設備費をテスラと分担して負担するからだ。

コスト面でも効果が期待できる。新工場が立ち上がって生産能力が年200万キロワットへ倍増すると、原材料のシリコンの調達量も2倍となり、規模のメリットで購入費を抑えられる。

パナソニックの太陽電池「HIT」は、光を電気に変える変換効率は世界トップ級だが、高価。米市場では、変換効率で世界最高の米サンパワーと真っ向勝負となる。パナソニックの吉田和弘ソーラービジネスユニット(BU)長は「コストメリットは武器となる。日本市場でも価格メリットが生まれる」とし、日米両市場での競争力強化を期待する。

営業面では、電気自動車(EV)の市場を切り開いたテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の発信力が武器となる。パナソニックは新工場で日本仕様と同じ5インチ角の太陽電池セルを量産し、テスラが購入して屋根と見た目がかわらない「ソーラールーフ」に仕上げる。ブランドはテスラか、テスラ子会社のソーラーシティになる予定。契約期間は10年だ。

ソーラーシティは京セラ製も調達し、年100万キロワットを販売してきた。米の住宅向けで首位の販売網を持つ。

太陽光市場調査機関「PVマーケットアライアンス」によると、16年の米国の太陽光発電の新規導入量は1300万キロワット。日本の1・5倍で、世界2位の市場だ。日本などが導入している電力を固定価格で買い取る制度がなくても巨大市場となっているのは「経済メリットがあるから」(パナソニックの吉田和弘BU長)。電気代が高く、太陽光の電力を使った方が得だ。

日本の太陽電池メーカーは国内依存度が高く、海外展開が各社の課題。パナソニックは米に販路を得たが、コストメリットの恩恵を受けるにはフル稼働が必要。現在、国内市場の低迷で、1工場が休止中だ。3月には新商品を発表し、「国内シェアを高める」(同)と意気込む。国内事業の再強化が急がれる。

(2017/2/7 05:00)

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