産業春秋/暦と季節

(2022/8/12 05:00)

読者諸兄姉は、もう休暇を済まされたろうか。多くのビジネスマンが旧盆休みをとるこの時期、立秋を過ぎてなお厳しい残暑が続く。暦と季節がかみ合わないと感じる。

古典落語の『船徳』で、昭和の名人・8代目桂文楽は「四万六千日、お暑い盛りでございます」と描写した。東京・浅草の観音さまにお参りすると、四万六千日分の縁が結べるという「功徳日」を、浅草寺は7月10日と決めている。

ただ、この習慣が庶民に広まった江戸時代は旧暦だったから、本当なら現代とは1カ月ほどズレが生じるはず。今年の旧暦7月10日は8月7日で、ちょうど立秋に当たる。「残暑の盛りでございます」が暦の上では正しい。

コロナ禍によるサプライチェーンの乱れでエアコンが品薄になり、修繕や交換に支障が出ているという。蒸し風呂と化した自宅では休みもとれないが、メーカーや工事業者が休日返上で働いても、部品不足にはかなわない。

「夏と秋と行きかふ空の通い路は片へ涼しき風や吹くらむ」(凡河内躬恒)。古今和歌集らしい繊細な技巧の歌で、なるほど季節の変わり目は、すぐそこまで来ているのだろう。涼風を感じるまであと一息。皆さまご自愛のほどを。

(2022/8/12 05:00)

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