産業春秋/会社は誰のもの

(2023/8/7 05:00)

「会社は誰のもの」。ここ数年、弊紙が追っているテーマだ。会社の利害関係者には株主、経営者、従業員、顧客、取引先がいる。その誰かに過度に偏った経営には歪みが出る。ビッグモーター(東京都港区)の不正疑惑をみると、あらためてそう感じる。

2006年に施行された会社法には三つの役割が挙げられている。取引相手の保護、利害関係者の利益重視、法律関係の明確化だ。同社が意識していたのは利害関係者のうち経営者だけ。法の目指すところから外れている。

オーナー経営で、会社は自分のものと考え何の疑問もないのだろう。不正は現場で行われ経営トップは知らなかったと釈明したことに、従業員を利害関係者ととらえていないことが表れる。

顧客も取引先に対してもそう。さらに店の前の街路樹が枯れた件では、他の会社でもあるのではないかと社会に疑念を抱かせた。実際にそうした話題がSNSで拡散し、瑕疵(かし)がないにも関わらず説明を余儀なくされたケースも表れた。

松下幸之助は「企業は社会の公器である」という言葉を残している。会社が成り立っているのは社会が必要とするからだと。自らだけに都合がいいように振る舞っていたら、それは会社ではない。

(2023/8/7 05:00)

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