全量検査で半導体の品質向上 アイエルテクノロジー、不良処分量を大幅削減

(2023/10/2 12:00)

「ロボットやFA(工場自動化)機器の基幹部品となるパワー半導体の品質検査の常識を変えたい」と意気込むのは、半導体ワイヤボンド専用の非破壊・非接触検査装置「レーザーボンドテスター」を手がけるアイエルテクノロジー(愛知県岡崎市)だ。「半導体ワイヤボンディングの全数検査が可能であるということを知ってほしい」と松本順社長は訴える。

  • サンプルを検査する松本社長

半導体チップとリードフレーム間を配線するワイヤボンディングは、抜き取りの破壊検査や画像処理による検査が主流。ロボットやFA機器の不具合ではワイヤボンディングの不良が最も多いという関係者もおり、検査工程で不具合が見つかった場合はロットで処分することになり、大きな損失となる。

「レーザーボンドテスター」は全量検査が可能なため、不良品発生時の処分量を大幅に削減できる。またワイヤボンド接合界面の面積を瞬時に測定できることから、不具合発生時の原因追究もしやすくなった。「当面、ロボットや産業機器用のパワー半導体需要は底堅い」(松本社長)として商社を発掘するなどして製品PRに本腰を入れ始めた。

本格発売から1年が過ぎ、いまのところ販売実績は10台程度にとどまる。しかし「製品を見てもらえば、品質に貢献することが分かってもらえるはず」(同)と最近は展示会にも積極的に出展。現在、電機大手など10社からサンプルが持ち込まれ評価試験を行っている。

「電機メーカーに認知されるようになってきたが、開発部門の責任者を動かすまでには至っていない」(同)と普及には道半ばだが、じわじわと反響も出てきた。今夏には東三河地域の信用金庫が共同出資する「三信金地域応援ファンド」が投資を決定するなど、同社技術への評価は日に日に高まっている。

「ワイヤボンディング検査機の市場はニッチだが当社技術へのニーズは間違いなくある」。松本社長は半導体関連メーカーへの売り込みに東奔西走の日々だ。

(2023/10/2 12:00)

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