配膳ロボで物流施設の生産性向上 チップワンストップ、小分け製品運搬楽に

(2023/12/25 12:00)

半導体や電子部品などを販売するチップワンストップ(横浜市港北区、高乗正行社長)は、10万点以上の在庫を持つ横浜物流センター(同市都筑区)に猫型の配膳ロボットを導入した。配膳ロボットは食堂などで採用される場合が多いが、物流センターで運ぶのは料理ではなく、主に仕入れ先から届いた製品。生産性が導入前と比べて約25%向上したほか、働く人の疲労の軽減につながった。まさに“猫の手を借りながら”快適な労働環境を構築する。

  • 猫型の配膳ロボットを製品や文書の運搬に活用。人が移動する時間を短くし、疲労を軽減する

横浜物流センターでは約70人が働く。このうちおよそ半数が切り分け作業に従事する。切り分け作業とは、製品を小分けにすること。チップワンストップは小分けで販売できる点を強みとする。ただ、手作業が多く1日当たり1000箱以上の出荷量がある。人の負担をいかに軽減するかが課題だった。

梅木哲也取締役は「人が一番すごい。ただ人が働くことを楽にするには、何ができるか考えていた」と振り返る。企業規模の拡大を目的とし、2022年8月に物流センターの空間を拡張したこともあり、移動にかかる負担の軽減に注目した。

そこで、22年に中国プードゥ・ロボティクス製の猫型配膳ロボットを導入。まず1台を試験的に導入したところ、従業員からの評判が上々だったため、もう1台の採用も決めた。合計2台のロボットが物流センターで稼働する。

二つのロボットは入荷した製品を保管棚まで運ぶ役割と、製品を小分けしてから出荷待ちの棚まで運ぶ役割をそれぞれが担当する。従来は1日に数回、台車で運搬していた。ロボットは製品のほか、書類の運搬も担う。

ロボットは障害物を避けながら走行できるものの、物流センター内の地図を覚えさせ、経路を決める必要がある。横浜物流センターの丁慶杉マネージャーは「導入に際し、ポイントからポイントまでの経路の設定を工夫した」と振り返る。

  • 部品点数を自動で数える「マルチカウンター」も導入し、生産性向上につなげる

出発点から終着点まであらゆる経路がある中で、人工知能(AI)技術も用いながら販売代理店と話し合い、経路を決めたという。「(導入効果の)最大化を実現できた」(丁マネージャー)。

結果、チップワンストップの強みである小分け作業の処理件数の増加につながった。例えば導入前は1人当たり毎時12件の処理件数だったのが、約15件に増やせた。ほかにも「疲労軽減や生産の平準化につながった」(同)。

ロボットに加え、部品点数を自動で数える装置「マルチカウンター」も導入し、生産性を高めた。今後も注文から出荷までの時間を短縮するために、費用対効果を見極めながら自動化に投資する方針だ。

梅木取締役は「全てを自動化すると初期投資がかかる上、柔軟性がなくなってしまう」と自動化に対する考え方を語る。自律移動ロボット(AMR)の導入も検討中だが「完全なるロボット化ではなく、人と機械の融合が大切」(丁マネージャー)とし、共存のあり方を模索する。

(2023/12/25 12:00)

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