社説/日米韓・G7財務相会議 過度な円安けん制も効果は限定

(2024/4/19 05:00)

日米韓3カ国の財務相会合が18日(日本時間)、米ワシントンで初めて開かれた。ドル独歩高による急速な円安・ウォン安について、日韓の深刻な懸念を認識するとの共同声明をまとめた。3カ国は今後も為替変動で緊密に協議する異例の表現も盛り込んだ。同日の東京外国為替市場は介入警戒感から円買いが先行し、円安進行に一定の歯止めがかかったと評価したい。

ただ米国の利下げ先送りや、先行き不透明な中東情勢がリスク回避のドル買いを後押しする基調に変化はない。日米韓の緊密な協議により、過度な相場変動をどこまで回避できるのか、引き続き注視する必要がある。

この会合に続いて行われた先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議でも、過度な為替変動は経済に悪影響を与え得るとの認識を確認した。日米韓やG7の国際協調を受け、18日の東京外国為替市場はやや円高に傾いたものの、依然として約34年ぶりの円安水準にある。

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が16日に利下げの先送りを示唆し、円安が進みやすい環境にある。米国の3月の消費者物価指数は前年同月比3・5%上昇と前月の3・2%上昇を上回り、同月の小売売上高も市場予測を上回った。国際通貨基金(IMF)も16日、米国の2024年の実質成長率を2・7%と予測し、3カ月前の予測から0・6ポイント上方修正した。他方で中東情勢がエネルギー価格を引き上げかねず、米国は利下げに動きにくい。

日銀は24年春季労使交渉(春闘)などを見極め、7―9月にも追加利上げに動くとエコノミストの間で指摘される。ただ政策金利が5%台の米国に対し日本は0―0・1%。日銀が利上げしても金利差はなお大きく、米国の利下げなしに大幅な円安是正は難しいと留意したい。

経済界が足元の円安を警戒している。日本商工会議所の小林健会頭は17日の会見で「他国との協調介入も含めて考えてもらいたい」と政府・日銀に要望していた。円安による輸入原材料の高騰は中小企業を直撃する。円滑な価格転嫁を実現したい。

(2024/4/19 05:00)

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