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[ 科学技術・大学 ]
(2016/8/12 05:00)
京都大学大学院医学研究科の篠原隆司教授らの研究グループは、精子幹細胞の自己複製を促す新しい遺伝子を発見した。脳下垂体から分泌されるホルモンのうち、黄体形成ホルモン(LH)が欠損すると「WNT5A」遺伝子の発現が上昇し、精子幹細胞の自己複製が促進されていた。男性不妊の原因の解明や治療法の開発につながる可能性がある。
精子幹細胞は精子を産み出す細胞で、自己複製と分化を繰り返して精子を作り続ける。精子幹細胞は精巣細胞のうち、ごく少数しかないため解析が難しく、これまで脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)が、精子幹細胞の自己複製を促進すると考えられていた。
しかし研究の結果、FSHシグナルは精子幹細胞の制御に関与せず、LHシグナルが精子幹細胞の自己複製を抑制することが分かった。
LH受容体を欠損したマウスでは精子幹細胞の増殖能力が進んだ。さらにLH欠損マウスの精巣で発現が変化している遺伝子を解析して調べた結果、WNT5A遺伝子が増加して精子幹細胞の自己複製を促していた。
精子幹細胞の培養技術はマウス、ラット、ハムスターに限られており、そのほかの生物からはまだ成功していない。
WNT5A遺伝子はヒトを含めたさまざまな動物の精子幹細胞の培養に役立つ可能性がある。新しい遺伝子改変動物作成の開発にも応用できる。
(2016/8/12 05:00)
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