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(2024/3/4 05:00)
「コク」のメカニズム解明
(総合1から続く)子どもの頃から食べることが大好きでした。小・中学校時代から食品の研究がしたいと考え、千葉大学大学院園芸学研究科では食品成分を分子レベルで研究しました。2021年にキユーピーに入社したのは調味料やサラダ、離乳食、介護食などの幅広いカテゴリーを展開していて、食品開発に長くチャレンジできると思ったからです。
研究開発本部おいしさ研究チームに配属され、味や香り、食感といったおいしさに関するデータを分析しています。入社前には〝料理の延長線〟くらいに思っていましたが、実際の現場では研究を商品につなげる難しさに直面しました。機能性のある素材を新たな商品に提案したりもするのですが、生産ラインやコストに合わなかったり、賞味期限の問題があったりと制約が多く、いくら素材や技術があっても商品に落とし込むのは難しいと実感します。
そんな中で取り組んだ研究「野菜による油脂感低減効果の解明」は思い出に残る仕事でした。揚げ物と野菜サラダを組み合わせると、界面張力による油の剥離作用で口内がさっぱりすることを検証した内容です。油モノを避ける高齢者や野菜をあまり好まない人の食べるきっかけになればと思います。現在はマヨネーズの「コク」の分析に取り組んでいます。主に卵黄に含まれる成分でコクを感じることは分かっています。多くの成分が影響し合ってコクを構成していて、特にどういうメカニズムでコクが増減するのかを解明する研究テーマです。
これからも研究者を続けたいと考えています。将来は技術知識を持ちながら、その上マネジメントもできるチームリーダーを目指します。お休みの日などは友達と出かけて、ご飯を食べたり、お酒を飲んだりするのが好きです。(文=編集委員・井上雅太郎、写真=高山基成)
◇キユーピー 研究開発本部評価・解析研究部おいしさ研究チーム・吉田真梨(よしだ・まり)さん
(2024/3/4 05:00)