[ オピニオン ]

産業春秋/つま恋伝説は続く

(2016/9/9 05:00)

「たびねする小夜(さよ)の中山さよ中に鹿ぞ鳴くなる妻や恋しき」。橘為仲が“小夜の中山”(現掛川市)で妻をしのんだ和歌が「ヤマハリゾートつま恋」の名の由来。1974年の開設時のヤマハ社長でヤマハ発動機創業者の川上源一氏が名付けた。

小坂明子や円広志、あみん、辛島美登里らを輩出したポピュラーソングコンテストの舞台。その“フォークの聖地”が12月に幕を下ろす。初期から携わった音楽プロデューサーの木下晃さんは「図面がOKでも川上さんが現場に来てやり直せと指示が出た」と振り返る。

75年、伝説の『吉田拓郎・かぐや姫コンサート』は掛川の人口に匹敵する6万5000人を動員。ラスト曲『人間なんて』を観客が声枯れるまでがなり続け、会場は熱狂の渦と化した。

木下さんは祭りの後、眠り込んだ若者らの傍らで黙々とゴミを拾ったという。今では野外コンサート会場は全国にあるが、つま恋がもたらした高揚は、ひとつの時代を象徴するものだ。

ポプコン生まれの中島みゆきの『時代』は「あんな時代もあったねといつか笑って話せるわ。(中略)今日は倒れた旅人たちも生まれ変わって歩き出すよ」と歌う。つま恋の第二の人生が、新たな伝説を紡ぐことに期待したい。

(2016/9/9 05:00)

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