[ オピニオン ]
(2017/2/16 05:00)
京都の花街は風物詩のひとつである「春のをどり」公演の準備に余念がない。中でも今年は「都をどり」が気にかかる。会場の祇園甲部歌舞練場が耐震工事のため、京都芸術劇場春秋座に変更になるからだ。
通い始めてかれこれ十数年。4月の楽しみなイベントだが会場変更は初めて。日頃の稽古の成果を披露する芸舞妓(げいまいこ)の艶やかさはもちろん、そぞろ歩く祇園の風情がたまらない。
四条通りから花見小路を下がると、よく知られたイメージの祇園の街並みが続く。建仁寺の手前左側が甲部歌舞練場だ。閉演後は近くの馴染(なじ)みのお茶屋へ。しばらくすれば「どうどした?」と、さっきまで舞台に立っていた芸妓や舞妓がご機嫌伺い。
春秋座は京都市左京区の京都造形芸術大学の中にある。風光明媚(めいび)な白川通沿い、セリや花道などを備えた歌舞伎のできる本格劇場だ。気になるのは花街から少し離れていること。「都をどり」前後の街の雰囲気は、どう変わるか。
新鋭の舞台設備を生かした演出で、新しい「都をどり」を披露したいと主催者は意気込んでいるとか。そうだ、伝統と革新の融合は京都の十八番(おはこ)だった。そう考えると新しいをどりに別の興味が湧く。皆さんにも、ぜひ観覧をお勧めしたい。
(2017/2/16 05:00)