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[ 科学技術・大学 ]
(2017/3/15 05:00)
東京大学大学院理学系研究科の佐野雅己教授らは、水中で電極の間にある微粒子の動きを遠隔制御する技術を開発した。マイクロメートル(マイクロは100万分の1)サイズの微粒子を目的地へ誘導できる。微粒子表面に汚れを分解する機能を付加して汚染場所に送り込む技術や、狙った細胞や組織に薬を届ける「薬物送達システム」(DDS)にも成果を生かせる可能性がある。
水の中では水分子が激しく衝突を繰り返している。微生物や微粒子といった小さな物体はこの衝突の影響を受けて不規則な運動「ブラウン運動」を起こす。微粒子のブラウン運動の影響を取り除くことは、微粒子の運動を制御する上での共通の課題だ。
佐野教授らは、樹脂の一種「ポリスチレン」の直径3マイクロメートルの球形の粒子を使い、水中での直進や回転運動が可能な「自己駆動粒子」を作製した。直進運動と回転運動を切り替えることで、ブラウン運動があっても進行方向の軌道修正が可能となる。
自己駆動粒子は、ポリスチレン粒子表面を半球のみ金で被膜したのが特徴で、電極間では電場エネルギーを利用して自ら動く。被膜部と無被膜部の境界線をきれいな直線にするのではなく、微妙に傾けることで、直進運動と回転運動の二つの機能を持たせることに成功した。
電場の周波数を変えて直進と回転を切り替えたり、被膜の境界線の傾きを変えて粒子の回転半径を変えたりすることができる。
成果は15日、米科学アカデミー紀要(PNAS)電子版に掲載される。
(2017/3/15 05:00)
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