[ オピニオン ]
(2017/7/19 05:00)
地球温暖化対策の新しいルールである「パリ協定」が採択されて1年半余、発効して8カ月が過ぎた。だが、この間にも地球表面の平均気温は上昇し続けている。日本企業は革新的な技術やビジネスモデルを創出し、需要を先取りしたい。
米航空宇宙局(NASA)が発表した世界平均気温の推移では、20世紀に入って上昇傾向が続くものの、年によって上下動はあった。しかし2014年から16年は上昇一辺倒になった。14―15年で0・1度C、15―16年で0・14度C上昇した。
パリ協定は世界の平均気温を産業革命以前に比べて2度C以下に抑えるとともに、1・5度Cに抑える努力を追求するのが目標だ。だが3年連続で上昇した結果、16年の平均気温は産業革命以前より0・98度Cの上昇となり、2度Cまで1・02度Cしかない。このままのペースで上昇すれば、あと8―10年で2度Cに到達してしまう。
ドイツ・ポツダム気候研究所のシェルンフーバー所長は地球環境戦略研究機関(IGES)の国際フォーラムで、閾(しきい)値を超えるとサンゴ礁などが壊滅的打撃を受け、すでに豪州東海岸のグレートバリアリーフは「白化」がひどい状態だと紹介した。ニューヨーク・タイムズの報道によれば、グリーンランドの氷床が溶けて濁流のような勢いで流れているという。
この状況に対し、企業は時代のニーズを先取りして製品やサービスを提供しなければ生き残れない。IGESの浜中裕徳前理事長は「ビジネス上のポートフォリオを思い切って変え、将来必ずこの分野の技術が必要になるだろうというところに重点投資する必要がある」という。
トランプ米大統領はパリ協定離脱を表明し、温暖化対策に前向きでない。しかし、米産業界は温暖化対策をビジネスチャンスと捉え、低炭素化を加速している。
日本企業は何もしなければ、海外企業との競争に後れを取ってしまう。消費者を脱炭素の方向に向かわせることも重要だ。政府も政策で明確なメッセージを発信しなければならない。
(2017/7/19 05:00)
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