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[ ロボット ]

ロボカップから見えた課題(下)レスキュー競技−“怪物”機体、高い信頼性(動画あり)

(2017/8/4 05:00)

■次は人との共存を模索

【NIST設計】

災害対応ロボットがしのぎを削るロボカップの「レスキュー」競技は、技術を競うコンテストというよりも耐久レースに近い。ロボットは悪路を何往復も走らされ、段差を越える度に衝撃に見舞われる。消耗は激しいが、それでも壊れず、稼働し続ける信頼性が求められる。競技を設計した米国標準研究所(NIST)らしい仕様だ。耐久性を増すため、上位チームは大きな重量級の機体を設計し改良してきた。結果、怪物のようなロボットが育った。

  • 短い休憩時間の間に機体をメンテナンスする京都大学の選手たち

レスキューはタイやイランなどの中進国が活躍する。NISTを中心に競技を設計し、実際の災害現場での運用を重視したルールとなった。

NISTのアダム・ジェイコフ氏は「まずは信頼性。ロボットの用途は警察や消防、対テロ、災害など多岐にわたる。競技を通して基本性能を測り、性能を比較して用途に応じた機体を選ぶようにする」と説明する。

競技では被災者を探す呼気センサーや危険物ラベルの認識などの基本機能を確認した後、階段などの往復や作業を何度も繰り返す。基本機能の点に往復数や作業回数を掛けて得点とする。

そのため最先端技術よりも、まずは機体の信頼性が重要だ。例えば京都大学はアーム作業の器用さ、ドイツチームは自律探索機能を追求した。それぞれ活躍はしたものの、表彰台に上ったのはイランとタイの走破性の高い重量級のチームだ。

【ジャンク品改良】

  • イスラーム・アザド・ヤズド大学の「YRA」120キログラムの機体を200ワットモーター4つで動かしている

運営に当たった長岡技術科学大学の木村哲也准教授は、「家電や自動車部品のモーターなど、ジャンク品を丁寧に改良し、総合力の高いシステムに仕上げた」と評価する。ジャンク品で信頼性を高めるのは至難の業だ。部品の性能限界を一つひとつ試して把握するところから開発が始まる。

優勝したイランのイスラーム・アザド・ヤズド大学は、自動車部品のモーターを採用。高温になると巻線などが膨らみケースと擦れて発火することを突き止めた。ミラッド・モハマディ大学院生は、「隙間にマッチ棒の芯を詰めると発火を防げる」と説明する。ジャンク品の活用は、東京・秋葉原やネット通販で豊富な部品がそろう日本では失われつつある“文化”だ。

【タフで実用向き】

ロボカップを通じて実用向きのタフなロボットが実現しつつある。ただ課題もある。移動ロボット研究所(神奈川県鎌倉市)の小柳栄次社長は、「要救助者が下敷きになれば大惨事」と懸念する。

木村准教授は「以前は重量級はすぐに火を噴いたが、いまは安定して稼働するようになった。怪物は成熟したと言える。次は人間を傷つけない設計や防水、防爆などの機能を、どのように競技に取り入れて開発を導くか」と思案する。要請や資金配分ではない、競技会を通じた技術の先導を模索している。

(2017/8/4 05:00)

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