[ オピニオン ]

社説/日タイ修好130年−投資増に向け、新たな協力関係を

(2017/9/28 05:00)

日本とタイが修好条約を締結し、正式に国交を開いて130年を迎えた。タイは日系企業の国際的バリューチェーン構築に欠かせない存在であり、第4次産業革命を迎える中、新たな協力関係を模索したい。

タイの日系企業数は約5000社に上り、世界有数の在留邦人社会を形成する。日系企業に勤務するタイ人は90万人ともいわれる。

タイで行われた関連イベントには、世耕弘成経済産業相や企業関係者ら日本から約570人が参加。IoT(モノのインターネット)や中小企業政策、産業人材育成など幅広い分野での支援を表明した。

周辺国より40年早く人口がピークを迎えるタイは、人手不足が顕著だ。5年後に労働人口が600万人不足するとの推計もある。最低賃金の上昇や高齢化は企業にとってリスクとなり、タイが持続的な経済発展を遂げるには日本の先端技術を活用した生産性向上が欠かせない。

タイのプラユット首相は「協力強化が遅れれば世界の波に取り残される」と危機感をあらわにし、日本の技術移転に期待を示した。5兆円以上を投じる新経済特区の東部経済回廊(EEC)についても「次の政府になったとしても変わらずに開発を続ける」と繰り返し、政策の持続性を強調した。

ただ、タイの最大の貿易相手国は13年に日本から中国に移った。「今年に入って中国から何度も経済視察団が来ている」とタイ外務省幹部は明かす。高速鉄道プロジェクトをはじめ、日本と中国をてんびんにかけているのが実情だ。

タイ政府に対して、大手機械メーカー幹部は「通関関税手続きの問題に代表される不透明な対応の改善を地道に進め、さらなる投資に向けた障害を少なくしてほしい」と注文を付ける。

EEC内の税制恩典についても「大企業寄りの政策で中小企業にはミスマッチ」と日系金融機関関係者。タイ政府が日本の協力を得て産業高度化や中小企業誘致に本気で取り組むには、確かな政策支援の道筋を作る必要がある。

(2017/9/28 05:00)

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