[ オピニオン ]
(2017/10/23 05:00)
環境管理の国際規格である「ISO14001」(環境ISO)の2015年版(新版)への移行期限が1年を切った。新版は経営と環境貢献との一体化を促す。18年9月の期限までに更新する企業は、新版を経営に活用してほしい。
環境ISOは目標を掲げて活動し、結果を検証して次の取り組みに生かす推進体制が整っていると、審査機関から認証を得られる。1996年の発行後、“環境優良企業の証”を手に入れようと認証ブームが起きた。
だが次第に目的意識が薄れ、更新審査のために活動する企業が増えた。紙、ゴミ、電気の削減が頭打ちになって取り組みが停滞し、認証が“お飾り”となってしまった企業もあるようだ。
環境ISOに価値を感じなくなった企業が増え、ピークの09年に4万件近くあった国内認証数は、14年は2万3000件台まで減少。最近は盛り返し、16年は2万7000件に増えた。理由は審査費を安くする審査機関が現れたためといわれる。
ただ、低価格化だけでは、形骸化が進むだけだろう。企業としてメリットを見いだせないようなら認証を返上し、審査費を他に振り分けた方がいい。
新版は推進体制の審査より、経営視点で環境問題を捉えているかどうかを認証基準としたのが特徴である。企業は将来の経営リスクとなりそうな環境課題を選んだ上で、その対策を検討する仕組みだ。
例えば、二酸化炭素の排出規制なら省エネルギー活動、資源枯渇による資材調達の不安定化なら再生材の活用、工場がある地域の渇水なら節水が経営リスクの回避につながる。もちろん地球規模の環境問題の解決にも貢献でき、昼休みに消灯を呼びかけるよりも、効果の大きな活動となるわけだ。
欧米を中心にESG(環境・社会・企業統治)を基準とした投資が盛んになり、経営に貢献する環境活動を投資家が評価するようにもなった。環境ISOの新版に移行した企業は経営リスクの発見と早めの対処、ESG投資に生かしてほしい。
(2017/10/23 05:00)
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