[ ICT ]
(2018/4/16 12:00)
米スプリントとTモバイルUSが再開した合併協議を頓挫させかねない障害物リストに政治を追加すべきだろう。
スプリントの約85%を保有するソフトバンクグループと、Tモバイルの親会社ドイツテレコムとの交渉が進められる中、今回は過去2回の試みとは違い、トランプ米大統領が承認プロセスに干渉しないでいられるかどうかが成否を左右しそうだ。
両社は高速ネットワークの構築や300億ドル(約3兆2000億円)のコスト削減、業界2強のAT&Tとベライゾン・コミュニケーションズに対するより効果的な攻勢は、合併を通じてしか実現できないと主張している。ただ、合併が大規模な人員削減をもたらし、消費者に直接的恩恵がほとんどない場合は政治的問題になる。
マッコーリー・キャピタルUSAのアナリスト、エイミー・ヨン氏は、「スプリントとTモバイルははるかに友好的な案を出す必要があるだろう。トランプ大統領が好む方法でまとめねばならない」と指摘した。
新たな案は司法省と連邦通信委員会(FCC)が約4年前に両社合併を阻止した際に抱いていた懸念の多くに対処しなければならない。当時司法省とFCCは合併で全米に展開する携帯電話事業者数が4社から3社に減れば競争が阻害されかねないとの立場を示していた。ただこれは、トランプ政権が企業の合併・買収(M&A)をより積極的に阻止するようになる前のことで、その後司法省はAT&Tによるタイム・ワーナー買収を阻もうと訴訟を起こしている。
モフェットネーサンソンのアナリスト、クレイグ・モフェット氏は11日付のリポートで、承認の確率は五分五分だと指摘。合意の可能性が開かれているのは、2018年中間選挙前と、FCCの次の周波数帯域入札に参加する企業に戦略協議を停止させる沈黙期間の前だと同氏は述べた。(ブルームバーグ)
(2018/4/16 12:00)