産業春秋／ラグビー・福岡堅樹選手

ラグビー、トップリーグ（ＴＬ）のパナソニックワイルドナイツに所属する福岡堅樹選手の今季終了までのプレー継続が決まった。２０１９年のワールドカップ（Ｗ杯）日本大会で快足を生かし日本代表初のベスト８入りに貢献した。

医師を目指す福岡選手は４月、順天堂大学医学部に入学。ＴＬ決勝まで進んだ場合、希代のトライゲッターの勇姿は最長５月２３日までとなる。２８歳。引退までの間は学生とラガーマンの掛け持ちだ。

トップレベルのスポーツ選手が医師を目指すのは珍しい話ではない。柔道女子７８キログラム超級で１８年の世界選手権覇者の朝比奈沙羅選手も２０年医学部に入った。両選手とも医者家系で医師を目指す物心は子どもの時から芽生えていたのかも知れない。

コロナ禍で福岡選手は当初目指していた７人制ラグビーでの五輪出場を断念し描く道筋の軌道修正を余儀なくされた。簡単に「二刀流」と言うなかれ。高いレベルでの奮闘は本人たちにしか分からない葛藤があるだろう。

今まで以上に医療従事者の存在感が高まっている。福岡選手が今後目指す“トライ”は人の命を支える素晴らしい医師になること。自ら定めた道。誰も異論はない。まっすぐ疾走してほしい。