(2021/7/9 05:00)
「ジャストインタイム」(JIT)。日本では「必要なものを、必要な量だけ、必要なときに」という意味で使われ、製造業の生産工程や小売りの物流など、産業界のさまざまなところで普及している。
ムダを排すことが利益に直結する。JITは企業人には耳慣れた言葉だが、国にはまだまだ周知されていないようだ。新型コロナウイルスワクチンの今後の供給をめぐる政府の説明を聞いてそう感じた。
ワクチンの累計接種回数は、6日時点で約5264万回。諸外国と比べても早い。自治体、自衛隊、職域接種、それぞれの場面で一人でも多くの人に接種すべく懸命の努力を重ねた結果だ。それが職域や自治体向けの供給が滞る事態となりつつある。
厚生労働省によると、6月末までに約9000万回分が自治体向けに配られており、接種実績からみて、約4000万回分の在庫を自治体が保有している可能性があるという。
JITの要諦は、後工程にしわ寄せを起こさない、工程を停滞させない流れの確立などだ。自治体の冷凍庫や冷蔵庫で眠ったままのワクチンがどれだけあるのかを早急に確認する必要がある。今からでも遅くない。JITの専門家に教えを仰いではどうか。
(2021/7/9 05:00)