(2022/10/4 05:00)
非製造業の業況は改善しているものの、人手不足が大きな経営課題となっている。コロナ禍に伴う行動制限や“水際対策”の段階的な緩和により、宿泊業・飲食サービス業などで経営者マインドは回復傾向にある。ただコロナ禍前から課題だった人手不足に頭を悩ませる。物価上昇に加えて賃上げも迫られる中小企業には重荷で、非製造業の先行きの業況を注視したい。
日銀が3日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、非製造業の業況判断指数(DI)は大企業がプラス14、中堅企業がプラス7といずれも6月調査より1ポイント改善し、中小企業はプラス2と6月調査のマイナス1からプラス圏に浮上した。製造業は大企業でマイナス1、中堅と中小が横ばいで、コロナ禍の行動制限緩和の追い風を受けた非製造業が相対的に業況が改善している。
ただ9月短観では非製造業の人手不足が6月調査より深刻化したのが気がかりだ。雇用人員判断DI(「過剰」回答割合から「不足」回答割合を差し引いた数値)は大企業から中小企業までの全規模でマイナス34と、6月調査より4ポイント悪化している。
規模が小さいほど人手不足に陥っており、日本商工会議所が中小企業を対象に実施した調査でも、「人手が不足している」企業割合は64・9%に達し、コロナ禍前の2019年調査で示された過去最高の66・4%に迫る数値だった。人手を確保する対策として「賃上げ実施・募集賃金の引き上げ」と回答した企業は最多の57%を占めている。
政府は11日から水際対策を緩和し、インバウンド(訪日外国人)消費を喚起する。入国者数の上限撤廃、個人旅行の受け入れ解禁、短期滞在者のビザ(査証)取得免除などを実施。さらに1人1泊最大1万1000円を補助する全国旅行支援も同日(東京都は20日)から始まり、非製造業に追い風が吹く。
ただ人手不足を理由にビジネスチャンスが縮小しては元も子もない。政府は需要の喚起にとどまらず、人材のミスマッチや労働者の4割を占める非正規労働の定着など、構造問題に踏み込んだ対応も求められる。
(2022/10/4 05:00)
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