(2023/3/29 05:00)
春爛漫。東京のサクラは満開を過ぎ、散る花びらが風に舞って地面を彩る。桜並木にカメラを向ける人の中には、コロナ禍が明けて来日したとおぼしき外国人客の姿もチラホラ。
この季節に行き交う電子メールもまた、にぎにぎしい。「異動します。お世話になりました」「退職です。ありがとうございました」―。心なしか例年より多く感じるのは、やはり脱コロナで異動を発令しやすくなったからかも。
夜の街には活気が戻り、送別会の予約も取りにくい。店のメニューはコロナ前より上がっていて、懐にはあまり優しくない。それでも杯を交わす声が明るく聞こえるのは、春闘の賃上げの成果だろうか。
松尾芭蕉が『おくのほそ道』の旅に出たのは元禄2年(1688年)3月の末。売り払った庵(いおり)に「草の戸も住み替はる代ぞ雛(ひな)の家」と掲げて、その後の連作の発句とした。「こんな荒れた家でも、住む人が代われば、来年は節句飾りをしてくれるだろうか」と、俳聖は未来に思いをはせた。
春は別れと出会いの季節。去る人がいれば、4月には異動者が着任し、新入社員を迎えて新体制がスタートする。歳々年々、人同じからず。散りゆくサクラに過去と未来とが交錯する。
(2023/3/29 05:00)
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