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(2023/10/9 05:00)
100年後に残る製品つくる
(総合1から続く)京都市出身で、生物が好きで九州大学農学部に入学し、同大学院・食糧化学工学分野でカテキンの効果のメカニズムの研究で修士を修了。食品や微生物に興味があり2018年に森永乳業に入社しました。健康栄養科学研究所・栄養機能研究室に配属され、育児用ミルクの研究・開発に取り組んでいます。
栄養機能研究室では母親の母乳が少ない場合に使う育児用ミルクの改良が課題の一つです。発育や成長を促す成分を配合するため、必要な成分などについて安全性と効果を分析・研究しています。例えば、粉ミルクで育つ乳児が得られるビフィズス菌は母乳に比べ少なく、これを増やすためのたんぱく質の配合を分析したりします。
入社後は勉強しながら、母乳に含まれる新しい成分の量の測定が主な仕事でした。さらにその成分機能が乳児の発育に意味があるのか、人に与えて安全かどうかを確かめなければなりません。細胞を使って実験を繰り返してデータ収集します。
割と最近の話ですが、「製品(育児用ミルク)に配合するための分析法の開発」を完成させて社内で発表したことが思い出深い仕事の一つです。母乳の分析のため希少物質を使う研究が必要でした。試行錯誤の回数が限られる中で機器のトラブルが発生し、上司や先輩に助けられながら何とか完成できました。入社1年前の2017年が当社の創業100周年でした。100年誌などで今も残る製品について知り、私も100年後に残る研究がしたいと強く思いました。これからも研究者として乳の研究のほか、ビフィズス菌などを使った新たな機能開発に取り組みます。
趣味はおいしいモノを食べること。特に登山で友人らと山頂で食べる、すき焼きといった料理が格別です。(文=編集委員・井上雅太郎、写真=木本直行)
◇森永乳業 研究本部健康栄養科学研究所栄養機能研究室研究員・両角麻衣(もろずみ・まい)さん
(2023/10/9 05:00)