「物流2024年問題」解消へ賃上げ環境整備 政府が中長期計画

(2024/2/16 18:00)

  • 物流業界首脳らと意見交換する岸田文雄首相(右から2人目)

政府はトラックドライバーの時間外労働を4月から上限規制する物流の2024年問題の対応として、物流革新に向けた中長期計画を策定した。このまま策を講じないと2030年度に輸送力が34%不足すると見込まれる。法改正や標準的運賃の引き上げなど「あらゆる手段で」(斉藤鉄夫国土交通相)賃上げ環境をつくり、デジタル技術も駆使して輸送力の確保、持続的成長を目指す。

30年度までに取り組むロードマップでは、「運賃の適正化や生産性向上のための法改正」「デジタル技術の活用による効率化」「モーダルシフトの強化」「高速道路の有効活用」「荷主や消費者の行動変容」の五つが施策の中心となる。34%とされる輸送力不足に対し、荷待ち・荷役の削減で7・5ポイント、積載率向上で15・7ポイント、モーダルシフトで6・4ポイント、再配達削減で3ポイントなどを改善し、必要な輸送力を確保する。

法改正で一定規模以上の物流事業者に荷待ちや荷役時間短縮の計画策定を義務付ける。国交省は物流事業者に、経済産業省は荷主に対して自動倉庫や無人フォークリフトなどのシステム投資を支援する。3年後をめどにドライバー一人当たりの荷待ち・荷役時間を19年度比で年間125時間削減、積載率向上により輸送能力16%の引き上げを目指す。

今回、標準的運賃の平均8%引き上げ、さらに荷待ちや荷役作業に適切な料金を加算することで、24年度に10%前後の賃上げ効果を期待する。

中長期的にはモーダルシフトを推進し、10年後をめどに鉄道輸送や内航海運の輸送量を倍増させる。大型トラックの最高速度時速90キロメートルへの引き上げや、ダブル連結トラックの導入促進、さらに高速道路の路肩や地下を利用した自動物流道路の建設や、自動運航船の実用化も目指す。

(2024/2/16 18:00)

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