社説/中東「報復の応酬」 円安・株安・原油高騰に警戒を

(2024/4/17 05:00)

先行き不透明な中東情勢が、原油高や一段の円安・株安を招かないか懸念される。イランとイスラエルによる報復の応酬はリスク回避のドル買いを促すほか、中東の海上輸送網に支障を来せば原油価格が一気に高騰しかねない。イランから初の直接攻撃を受けたイスラエルは応戦の方針を決め、反撃する標的や時期などを協議しているとされる。イスラエルの対応次第では世界経済の大きなリスク要因になりかねず、警戒したい。

イランが13日から14日にかけてイスラエルに初の直接攻撃を仕掛けた。イスラエルが1日にシリアのイラン領事館を空爆したとみられることへの報復だ。

イランが直接攻撃でイスラエルに発射した無人機や巡航ミサイル、弾道ミサイルはほとんどが迎撃され、イスラエルの被害は限定的だったという。ただイスラエルの報復が想定され、今後の原油価格の動向には警戒が必要だ。イスラエルはパレスチナ自治区ガザ最南部ラファへの地上侵攻を延期し、イランへの報復を優先しているとされる。

中東情勢が悪化し、海上輸送の要衝・ホルムズ海峡に支障を来さないか心配だ。石油輸出国機構(OPEC)プラスは6月末まで減産するため、供給不足に陥りかねない。加えて米国経済が堅調なほか、中国も16日発表の1―3月期の実質国内総生産(GDP)が前年同期比5・3%増と政府目標を上回る。米中は石油消費量で世界1、2位を占めており、需給逼迫(ひっぱく)による原油高騰が懸念される。

バイデン米大統領はイスラエルのネタニヤフ首相に報復への軍事支援を行わないと伝えたという。イランもイスラエルや米国との全面衝突を望まない。イスラエルに自制が求められる。

16日の東京株式市場の日経平均株価は3万8000円台まで値を下げ、東京外国為替市場は1ドル=154円台と約34年ぶりの円安で推移した。米国の利下げ観測の後退に加え、先行き不透明な中東情勢を嫌気し、リスク回避のドル買いが進んだとみられる。円安は輸入物価を押し上げるだけに、政府・日銀には適切な対応が求められる。

(2024/4/17 05:00)

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