日阪製作所、生駒に生産拠点移管 ワンフロアで効率化

(2024/4/24 12:00)

日阪製作所は1月1日に新たな生産拠点「生駒事業所」(奈良県生駒市)を開設した。これまでの主要生産拠点だった鴻池事業所(大阪府東大阪市)からプロセスエンジニアリング事業本部を全面移管した。同部門では食品向け殺菌装置や医薬向け滅菌装置、染色装置などを扱う。生駒事業所の延べ床面積は約2万4000平方メートルで、生産高は最大で約200億円を見込む。

  • 生駒事業所では縦長の建屋内を貫くように製造工程を整備した

従来の鴻池事業所のプロセスエンジニアリング事業本部棟は3階建てで、これが生産性における課題だった。生駒事業所長を務める濵田洋一上席執行役員は、鴻池事業所の生産工程について「製品が大きいため、エレベーターの昇降で人を待たせる必要があった。リードタイムだけでなく人手の面でも非効率的だった」と振り返る。

また鴻池事業所はプロセスエンジニアリング事業に加え、熱交換器事業、バルブ事業の生産も担っている。各部門の作業空間が不足して、出荷前の製品・部材を保管するために外部の倉庫を借り、スペースを確保していたという。

これに対し、生駒事業所の作業エリアはワンフロア。工場を縦に1周する形でラインを整備した。鴻池事業所と比較して、生産工程における移動時間は半分以下になった。工場を横断する吊り下げクレーンや、大型無人搬送車を用いて工程をまたいだ部材の移送も効率的に行える。

加えて工場棟の2階に当たるスペースに検査・倉庫エリアを新設。使用する部材や検査・製造途中の製品などを必要に応じて上階に上げておくことで、作業スペースを最大限活用することが可能になった。

  • 生駒事業所で工程間の部材輸送に用いている大型無人搬送車(手前)と天井クレーン

5月から生駒事業所では新たに「ロジスティクス棟」も稼働を始める。出荷前の製品や一部材料を保管しておき、「多目的に使えるバッファーとしての役割を持たせる」(太田光治取締役)という。工場棟上階の倉庫エリアを含めて収容量が増えたことで、荷待ち時間を短縮でき、物流の「2024年問題」への対応策も兼ねる。

日阪製作所は創業100周年を迎える2042年に向けた長期ビジョンで、30年3月期に23年3月期比46・7%増の売上高500億円を達成する目標を掲げている。太田取締役は「生駒事業所にプロセスエンジニアリング事業を移管した分、鴻池事業所でも生産を効率化する。生産キャパシティーの拡大とリードタイム短縮により、両事業所合わせて生産高500億円を達成する」と強調する。

(2024/4/24 12:00)

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