円柱状長尺物の歪み修正に強み フクネツ、熱処理と研削加工技術融合

(2024/4/24 12:00)

  • 熟練技能者による歪み修正工程

フクネツ(福岡県篠栗町、永島誠一郎社長)は、金属材料に加熱と冷却を施すことで用途に応じた特性を向上させる熱処理業務を主力とし、表面処理、研削・切削加工を手がける。高付加価値で多品種、加工数100以下の少量生産が得意。さまざまな要望に応じるオーダーメードの受託企業として顧客にとって頼もしい存在だ。

永島社長のイチ押し技術は、円柱状の長尺物の歪(ゆが)みを修正する技術。熱処理と研削加工の技術に熟練技能者の経験と勘を加えた独自技術だ。永島社長は自社の業務を「西日本で取り組む企業は数少ない」と強調する。

同社が加工するのは、工作機械内で直動するアクチュエーターやピストンロッドなど精密加工品。歪みや曲がりは、例えば長さ3メートルの金属の場合、焼き入れで10ミリメートル以上の歪みが生じる場合があるという。円柱状の長尺物の部品については両端の円の中心を機械で固定して回転させて歪みを検証する。歪みがなければ回転中真っすぐな棒に見える。一方で少しでも歪みがあると回転でその部分が膨らんで見え、機械部品として使用できない。

そこで発揮するのが歪みや曲がりを修正する技術だ。油圧プレスで変形させたり、焼き戻しの熱を利用したりして矯正する。修正加工で歪みを0・1ミリメートル以内に収め、さらに研削加工で同5マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下に仕上げる。

加工部材は一つひとつ曲がりや歪みの形状が異なる。このため、油圧による矯正の力加減は熟練技能者の経験と勘を駆使。感覚で調整しながら行う。最初に熱処理を加える段階で歪みの修正ができる金属組織の状態にしておくこともポイント。部品は使われ方によって多種多様な強度が求められる。曲がりや歪みを直す工程において折れてしまうことを防ぎ、不良率は極力ゼロに近づける。

永島社長は熟練技能が活躍する状況を「当分はデジタル化や人工知能(AI)が踏み込めない世界」と力を込める。

(2024/4/24 12:00)

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