社説/日中韓FTA交渉再開 中国はビジネス環境の改善急げ

(2024/5/28 05:00)

日中韓首脳会談が27日にソウルで開かれ、共同宣言を採択して閉幕した。地域の安全保障で具体的な成果を得られなかったものの、2019年から中断していた日中韓自由貿易協定(FTA)の交渉再開で合意し、経済分野で進展がみられた。3カ国の関係改善に向けた一歩と期待したい。中国には自由で公正な貿易ルールを順守させ、日本の経済界が求める「予見可能なビジネス環境」の整備も中国に強く働きかける契機としたい。

中国は「核心的利益」と位置付ける台湾問題で、対立する米国と連携を強める日韓をけん制する。一方、低迷する中国の国内経済を補完するため、日韓から投資を呼び込みたい思惑ものぞく。日韓も中国は重要な貿易相手国であり、経済安全保障に抵触しない分野で協力を進め、間接的ながら東アジアの安全保障問題の緩和につなげたい。

26日の日中首脳会談では、歴史問題を棚上げして実利を追う「戦略的互恵関係」を推進することで合意した。だが、東京電力福島第一原子力発電所の処理水問題、日本産水産物への輸入禁止措置、邦人拘束、日本への短期滞在ビザ(査証)の免除停止など、個別の案件で進展がみられなかったのは残念だ。

岸田文雄首相は処理水問題について、李強首相には科学的根拠に基づく対応と、日本産水産物輸入禁止の即時撤廃を要求。日中は協議の加速で合意したが先行きは見通せない。23年7月施行の改正反スパイ法も、どの行為が違法かが不明で、日本企業のビジネス環境を脅かす。透明性ある法運用は、今回の首脳会談でも担保されていない。

日中にはビザ申請をめぐる摩擦もある。中国はゼロコロナ政策終了後、停止していた短期滞在ビザの免除を再開したが、日本は停止されたままだ。日本の経済界は1月、4年ぶりに訪中団を結成し、李首相に環境改善を求めている。中国が日本企業の対中投資を促したいなら、直ちに免除を再開すべきだ。ただ中国は経済より国内の政治的な引き締めを重視しているとされる。日中関係がどこまで改善に向かうかは慎重に見極めたい。

(2024/5/28 05:00)

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