[ オピニオン ]

社説/平成の遺産(7)資金調達多様化 間接金融から直接金融へ広がり

(2019/4/25 05:00)

平成は、企業の資金調達の面から振り返ると、「間接金融から直接金融へ」というスローガンに収れんできる。

わが国は戦後の復興期において、銀行を中核とする金融機関が、企業に対する資金供給と企業統治の両面で大きな役割を果たしてきた。高度経済成長期には、設備投資を中心として高まった資金需要を満たすため金融機関からの借り入れなど間接金融に依存してきた。

間接金融は、バブル崩壊後、機能が低下した。背景には、企業の過剰債務問題と金融機関の不良債権問題がある。バブル崩壊により、金融機関に多額の不良債権が発生。自己資本の毀損を通じ、金融機関の経営の健全性を大きく脅かす。このため、金融機関はリスク許容力が低下し、設備投資など貸し出しに慎重な姿勢をとるようになった。

一方、過剰債務の存在は、企業経営を圧迫した。金融機関にとっては信用リスクの高まりを意味し、企業の金融機関からの資金調達も難しくなった。このため、企業は、バランスシートの調整を迫られ、設備投資などの新たな資金需要を抑制し、債務返済を優先するようになる。

日本経済が低成長期に移行し、企業の資金調達が変化していく。金融・資本市場の自由化や国際化が進展したためだ。金融機関からの借り入れが減少する半面、証券市場で資金調達する比率が上昇する。間接金融に依存してきた資金調達が、直接金融へと広がる。80年代はエクイティ・ファイナンス、90年代は普通社債(SB)など有価証券発行による資金調達が増える。

ただ、間接金融は依然として根強い。企業にとって主要な取引銀行である「メーンバンク」の存在があるためだ。株式持ち合いや役員派遣などを通じ、企業は、メーンバンクと長期的な関係を築いてきた経緯がある。

直接金融による資金調達は、信用のある一部の大企業や自治体などに限られる。クラウドファンディングなどの新方式もあるものの、中小企業やベンチャーなどの資金調達手段はまだ少ない。令和時代は資金調達のさらなる多様化が求められる。

(2019/4/25 05:00)

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