社説/温対法の改正 企業の自主性高める政策を

(2021/5/3 05:00)

地球温暖化対策推進法(温対法)改正案は「2050年までの脱炭素社会実現」を基本理念に明記した。二酸化炭素(CO2)排出量の報告では企業の自主性を高める工夫が肝要だ。

政府が今国会で成立を目指す改正法案は、都道府県、政令市、中核市に自治体が策定する実行計画で再生可能エネルギー導入目標の策定を義務づけた。環境省は25年度までに都道府県の目標策定率(19年度約30%)を100%にする方針。

再エネ施設の建設をめぐり、環境や防災などへの影響を懸念する住民と事業者の協議が難航するケースは後を絶たない。

改正法案では合意形成を円滑化するため、自治体が環境保全などを踏まえて実行計画で再エネ事業促進区域を定め、住民や事業者らが協議の上で事業認定する制度を新設。認定を受けた事業計画は関係法令の許可手続きのワンストップ化や環境影響評価手続きの簡素化が図れる。

温室効果ガスをCO2換算で年間3000トン以上排出する企業に義務づけている国への排出量報告は原則、紙媒体から電子による申請に改める。事業者に加え事業所も開示請求なしで排出量の閲覧を可能にする。

企業にとって排出量の報告・公表はESG(環境・社会・企業統治)投資につながる効果が期待できる一方、生産量が推計され、競合企業に機微情報を与える懸念もある。公表対象事業者の6割程度が中小企業であることを考慮すると、自社の取り組みを報告したくなるような工夫が政策に望まれる。

脱炭素化に積極的な企業を表彰制度などで評価する仕組みを改正法施行と同時に実施できないか。また取引先との関係強化など脱炭素化による実践的な成果事例を紹介できれば、他企業の意欲向上も期待できよう。 

自治体の主導性を高めることが、再エネ導入の促進につながるかどうかは不透明だ。自治体によっては人材難から計画策定が困難なところもある。都市と地方が手を組み電力需給のミスマッチを防ぐなど、自治体の広域連携でも国の継続的な支援が欠かせない。

(2021/5/3 05:00)

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