社説/中小企業支援 総合経済対策、機動的な執行を

(2022/10/28 05:00)

政府は28日に決定予定の総合経済対策に中小企業対策を盛り込む。賃上げ、輸出、生産性向上などを促し、収益基盤の強靱(きょうじん)化につなげる。中小企業は円滑な価格転嫁、円安メリットを生かした輸出の拡大、デジタル変革(DX)などを駆使した生産効率を追求し、物価高・円安への対応力を強化したい。

政府は継続的な賃上げを実現する上で、労働者の7割を占める中小企業の取り組みを重視する。エネルギーや原材料の高騰分を下請け中小企業が適正に取引価格に転嫁できる環境を整える。公正取引委員会の執行体制強化、独占禁止法や下請代金法の厳正な執行、転嫁拒否の親事業者の社名を独禁法に基づき公表するなどの行為を推進する。これを機に、受発注企業間で適正に利益を分かち合う共存共栄の関係を構築していきたい。

中小企業が事業再構築や生産性向上と一体で行う賃上げへの支援も大幅に拡充するという。DXや学び直しによるスキルアップを生産性向上につなげ、収益基盤の強化によりさらなる賃上げに向かう好循環を実現することが期待される。

内需依存度が高い中小企業にとって円安はデメリットだが、新たに輸出に取り組む中小企業1万社への支援も講じる。専門家による伴走型支援や、輸出商社との連携により、中小企業の輸出を後押しする。中小企業も円安メリットを引き出したい。

中小企業の資金繰りも、個人保証に依存しない融資慣行に向けた施策を年内にまとめる。経営者や親族が債務返済を保証する負担を解消し、信用保証協会の保証で済ませる案などが想定される。融資を受けやすくなる環境が整うと評価したい。

総合経済対策の裏付けとなる2022年度第2次補正予算案は国費で30兆円程度を求める指摘がかねて自民党にあり、「金額ありき」の感は否めない。本来は23年度当初予算案で編成すべき政権の看板政策「新しい資本主義」も一部が補正予算案に盛り込まれる。ただ物価高に直撃されている中小企業への対策は緊急を要するだけに、政府には機動的な執行を求めたい。

(2022/10/28 05:00)

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