社説/G7労働雇用相会合 「人的資本への投資」機運醸成を

(2023/4/20 05:00)

主要7カ国(G7)労働雇用大臣会合が22、23の両日、岡山県倉敷市で開かれる。G7各国が直面する生産年齢人口の減少を受け、「人的資本への投資」の重要性について議論する。人への投資は岸田文雄政権が掲げる「新しい資本主義」の重点施策であり、G7でコンセンサスを得ることで、国内での施策推進に弾みを付けたい。

G7は人への投資を推進し、経済の活力を維持することが各国共通の課題であるとの認識を確認する。リスキリング(学び直し)などにより、デジタル化や脱炭素などの構造変化に対応できる人材を育て、生産性の向上と継続的な賃上げを実現することの重要性を話し合う。女性登用などの多様性も推進し、性別や年齢にかかわらず本人の意欲・能力に応じて活躍できる環境をいかに整備するかも議題となる見通しだ。G7会合での建設的な議論が期待される。 

人的資本への投資は、当該企業の生産性向上による賃上げ効果のほか、スキルを高めた人材が他社に移る労働移動も促すことになる。G7では労働移動を円滑化する労働市場の整備や、コロナに続く将来のリスクに備えた労働政策のあり方も議論する見通しだ。各国のコロナ禍対策を検証し、効果的な働き方改革を模索してもらいたい。

連合は7日、G7の労働者代表を集めた「レーバーサミット」を都内で開き、声明文を岸田首相に手渡した。世界的なインフレを受け、少なくともインフレ率に見合う賃上げの必要性を訴えたほか、全ての労働者が公正な賃金を受け取れるよう要望した。男女間の賃金格差の是正、移民労働者への差別撤廃なども含め、G7会合はこれらの訴えにも耳を傾けてほしい。

人的資本は人材を人件費ではなく、新しい価値を生み出す資本と捉え、その価値を最大化することが期待される。企業が短期的な株主利益を追求する戦略を見直し、従業員や取引先、顧客、地域社会など幅広い利害関係者を考慮した利益配分が求められ、人的投資はその一環となる。G7会合では投資を促す機運を醸成してもらいたい。

(2023/4/20 05:00)

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