産業春秋/株高と円安、素直に喜べない理由

(2023/5/29 05:00)

株高と円安―。好調な企業業績などを反映して株価が上昇し、為替は企業の輸出やインバウンド(訪日外国人)需要の拡大を促す円安基調の相場展開となっている。だが、もろ手を挙げて歓迎することはできない。

円安は日米金利差の拡大を市場が意識したことによる。米連邦準備制度理事会(FRB)は6月の会合で追加利上げを決めるとの観測が再燃する。だが利上げが米銀行の経営を悪化させ、厳格化している融資がさらに細る可能性がある。

米FRBの利上げは懸案のインフレ抑制に資するものの、米銀行が保有する債券の含み損を拡大させる。米国経済の減速が日本経済に波及するリスクが懸念される。

株高は日本企業の好業績だけが理由ではない。円安や日本企業の自社株買い、米欧にくすぶる金融不安も背景にある。海外投資家がリスクのある米欧への投資を控え、比較的安心な日本株を消去法で選択したとみられる。

米国の経済減速、さらに景気後退となれば株安・円高となりかねない。日本経済にも影響が及ぶ。バイデン米政権が2024年の大統領選挙を見据え、いかに米国経済を軟着陸させるのか。その道筋が付くまで市場動向に一喜一憂することは慎みたい。

(2023/5/29 05:00)

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