産業春秋／ワグネル解体、ロシア軍は弱体化するのか？

ロシアの民間軍事会社「ワグネル」―。創設者のプリゴジン氏が企てたロシア軍への武装蜂起は失敗に終わった。同氏と親しいベラルーシのルカシェンコ大統領の仲介により事態は沈静化し、プリゴジン氏のベラルーシ移動も決まった。事実上の亡命である。

プーチン大統領の独裁体制の歪みが浮き彫りになった。疲弊するロシア軍はワグネルを頼りつつも、ロシア国防省はワグネルを指揮下に置こうと画策。事実上のワグネル解体への動きがプーチン大統領への反乱を誘発した。

ワグネルはロシア南部の軍事施設を占拠しつつ、モスクワまで２００キロメートルの地点まで進軍。これに対しプーチン大統領は、国家反逆罪として全員処罰すると表明していた。

プーチン大統領はウクライナ侵略へのベクトル合わせに向け、ワグネル戦闘員には責任を問わない考えに方向転換し、武装蜂起に参加しなかった戦闘員にはロシア国防省との契約を呼びかける。

ワグネルに翻弄（ほんろう）されたロシア軍の弱体ぶりも鮮明になった。ロシア国内の混乱がウクライナの反転攻勢を後押しすることになるのか、ワグネルが事実上解体されロシア軍はさらに弱体化するのか。ウクライナ情勢の今後を注視したい。