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[ 商社・流通・サービス ]
(2016/10/26 05:00)
JR九州はJRグループの中でも、鉄道以外の収益が5割を超える、異色の事業構造が特徴だ。2013年に運行した豪華寝台列車「ななつ星in九州」は現在も高い人気を誇り、JR東日本など他の鉄道会社が追随するなど、観光列車の市場を創った。背景には、本業の鉄道事業で多くの赤字路線を抱えるなど、厳しい経営環境がある。25日に東証1部に上場した初日の売買は、苦肉の策で独自路線を歩むJR九州に市場が一定の評価を与えた。今後は、事業の多角化で収益性をどこまで高められるかが、カギとなる。(3面参照、高屋優理)
青柳俊彦JR九州社長は上場後の会見で、「アジアの元気を創り出すグループにしてきたい」と述べた。訪日外国人の集客や中国・上海の外食事業など、アジアをターゲットとした事業の布石は打っている。さらなる成長には、国内で進める不動産やホテルなどの事業を海外に広げる必要がある。
1987年の国鉄分割民営化で六つの旅客会社に分かれたJRは、JR東日本、西日本、東海を「上場三社」、北海道、四国、九州を「三島会社」と呼ぶ。大都市の通勤列車や新幹線などのドル箱路線をもつ上場三社と、赤字の地方路線を引き受けた三島会社の体力は開く一方で、文字通り明暗が分かれている。三島会社として初めて上場を果たした青柳社長は「鉄道事業が難しい環境の中で30年、努力を続けてきた」と振り返る。
分割民営化の際、三島会社には鉄道事業の赤字を補填するための基金が設けられ、JR九州も基金の運用益に頼ってきた。実質的に国の傘下にあったJR九州だが、上場と同時に“完全民営化”し、経営の自由度が増す。
一方で、国の傘下にあるからこそ守られていた地方路線をどうするかが、経営課題の一つとなる。青柳社長は赤字路線の方向性について「数字目標に未達のものをやめるという発想で経営をすると、鉄道ネットワーク自体が成り立たず、我々の力が半減する」とし、赤字路線の整理に消極的な姿勢を示した。
JR北海道やJR四国は苦しい経営状況が続いており、30年前の分割民営化の手法が正しかったか、今も議論が分かれる。青柳社長は「会社発足時に上場をイメージできていた人はいなかった。民営化が正しかったことをJR九州が証明した」と述べた。
鉄道や地域などの枠にとらわれず、自由な発想で上場を果たしたJR九州。「二島会社」となったJR北海道とJR四国が後に続けるかは、上場後のJR九州の成長にかかる。
(2016/10/26 05:00)
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