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[ 科学技術・大学 ]
(2016/11/8 05:00)
南海トラフ地震など巨大地震の発生に備え、建物の地震対策は喫緊の課題だ。特に、都市部は、遠く離れた震源地でも高層ビルを大きく揺らす長周期地震動により建物同士がぶつかり、さらなる被害につながる恐れがある。大成建設技術センターでは、大地震が発生しても被害を最小限に収める技術開発を進めている。
同センターが開発した「パッシブ切替型オイルダンパー」は、揺れ幅が設定変位を超えると、自動的にオイル流路の一部をふさぎ、高い減衰力を維持する装置だ。切り替えには電気などのエネルギー供給が不要で、停電時でも確実に作動する。
一般的な免震装置は建物の周囲に60センチメートル程度の間隔が必要だ。一方、このダンパーを使えば建物の周囲に必要な空間が30センチメートル程度で済む。そのため都市部の狭い敷地でも建築面積を最大限に確保できる。新宿区役所本庁舎(東京都新宿区)など、既に3件の建物で採用されている。
同センターの長島一郎建築技術研究所長は、4月に発生した熊本地震の知見を防災対策に取り入れる必要性を強調する。熊本地震では、地震の規模を示すマグニチュード(M)6・5の地震が発生した2日後にM7・3の地震が発生しており、いずれも最大震度7を記録した。これまでは一度の強い揺れに耐えることを想定していたが、「震度7の地震が2回発生する危険性も考えないといけない」(長島所長)と呼びかける。
オープンイノベーションについては積極的に取り組む。今後もさらに加速させる考えで「ICT(情報通信技術)や人工知能(AI)が建設にどんどん入ってくる」(長島所長)と予想。これらに加え、センサーやクラウドコンピューティングなどを使った建築「デジタル・コンストラクション」の拡大を見据える。
他社との研究によって得た成果を、どのように自社の技術に定着させるのかが成長のカギになる。長島所長は「ゆくゆくはICTやAIを基盤技術として自社で開発したい」と展望を語る。
(福沢尚季)
▽所在地=横浜市戸塚区名瀬町344の1▽電話=045・814・7221▽主要研究テーマ=エネルギー、環境、安全・安心技術、都市構築技術、ICT、解体工法▽研究者数=約170人
(2016/11/8 05:00)
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