資生堂、“肌体質”をDNA解析で把握 皮膚科学研究とAI解析を融合 

(2023/11/16 12:00)

資生堂は、独自のDNA(デオキシリボ核酸)検査法により個々の肌や全身の最適なケアを提案するサービス「ビューティー・ディーエヌエー・プログラム」を今夏から本格展開している。皮膚科学研究と人工知能(AI)解析の融合により、独自のアルゴリズムを確立した。吉川達也みらい開発研究所研究員は「これを用いてDNAの肌に関連する79種の因子の違いを検査し、生まれつき持つ肌体質を把握。適切なアドバイスにつなげる」と説明する。

  • DNAの評価により肌体質を把握できる

肌の設計図であるDNAは血液や細胞のほか、唾液にも含まれている。同サービスでは利用者にとって負担の少ない唾液を採取・郵送してもらう。DNA検査では肌体質(生まれ持った肌の特徴)、肌レジリエンス力(肌の老化・悪影響への抵抗力)、ビタミン調整力(血中のビタミン調整力)の3カテゴリー27項目について評価する。専門員が結果を利用者に説明し、スキンケアのほかに食事、運動、睡眠など、一人ひとりのニーズに合う総合的なアドバイスを行う。

「このサービスの開発ではDNAの評価に必要なアルゴリズムの確立が重要なポイントだった」(吉川研究員)と強調する。DNAは2重らせん構造の配列の0・1%の差異が姿形や能力の違いに影響する。DNAの塩基配列における1塩基が置き換わっている一塩基多型(SNP)が肌や全身の体質などの特徴に関係しているという。アルゴリズムはこのDNAの特徴と肌の状態を関連付けるために必要となる。

  • 1472人の測定データからシワのできやすさなどとその因子との関係性を導き出した

基礎データとして1472人を対象に、シワ・シミ、バリアー機能、水分量、ハリ・粘弾性などを個別に測定し約6年をかけて蓄積した。例えばシワの場合、遺伝子要因により若くても多い人や、高齢でもできにくい人がいる。また、後天的な環境要因としては紫外線(UV)曝露(ばくろ)歴や喫煙歴などの影響も加わる。「ここからさまざまなAI解析を用いてモデル構築し、関連性をアルゴリズムとして導き出した」(吉川研究員)と明かす。

同社はアルゴリズムに基づく検査サービスのテストを2022年に実施した。アンケート結果から96%が「友人に教えたい」とし、96%は「提案されたケアを取り入れたい」と回答するなど高評価だった。さらにアンケートの意見を踏まえて、利用者にアドバイスする「パーソナルセッション」の内容や、結果を閲覧するインターフェースなどの細部に反映させて本格サービスに移行している。

(2023/11/16 12:00)

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