1月の実質賃金、0.6%減 22カ月連続マイナスも減少幅縮小

(2024/3/7 17:00)

厚生労働省が7日発表した毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、1月の実質賃金は前年同月比0・6%減少した。前年同月比のマイナスは22カ月連続だが、減少幅は2023年12月確報値の2・1%から縮小した。名目賃金の安定的な伸びと消費者物価指数(CPI)の上昇鈍化が要因だ。物価上昇に賃金の伸びが追い付かない状況は続くものの、個人消費を左右する実質賃金上昇率のプラス転換が近づいてきた。

名目賃金にあたる現金給与総額は前年同月比2・0%増で25カ月連続のプラスだった。伸び率は23年6月以来、7カ月ぶりに2%台を回復。23年12月は0・8%増だった。

毎月勤労統計調査で用いられるCPIは、持ち家の帰属家賃を除くベース。23年1月は前年同月比5%台まで上昇したが、24年1月は同2・5%の上昇と23年12月の同3・0%から上昇幅が縮小した。伸び率が2%台まで鈍化したのは22年6月以来となる。

現金給与総額のうち基本給にあたる所定内給与は同1・4%増だった。プラス幅は23年12月と同水準だった。特別に支払われた給与は同16・2%増と大きく伸びたが、厚労省によると本来、23年12月調査に含まれる年末賞与を1月分に計上した事業者があったことによる特殊要因が大きいという。

24年春季労使交渉(春闘)は目下、ヤマ場を迎える。物価上昇分を上回るベースアップ(ベア)獲得が最大の焦点だ。CPIの上昇率が2%台で安定的に推移し、ベアに相当する所定内給与の上昇率が、これを上回れば消費が促され、内需を中心とした安定成長の道筋が見えてくる。23年春闘では主要企業のベアは2%強と高水準の賃上げが実現したものの、所定内給与の上昇率は1%前後にとどまった。物価上昇率は3%台後半で推移したことから生活実感の改善につながらなかった。

24年は連合がベアで3%以上を目安とする要求方針を掲げ、すでに交渉が妥結した流通大手などは3%を超えるベア実施で会社側が回答している。物価上昇を上回る賃上げ実現となるか、大手企業の回答が集中する13日に注目が集まる。

(2024/3/7 17:00)

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