[ オピニオン ]
(2017/2/24 05:00)
働き方改革を進めるには、トップが号令をかけるだけでなく「日々の仕事がラクになった」と従業員が体感できるような工夫を取り入れることも有効ではないか。
働き方改革は本来、生産性向上と同時に取り組むべきものである。労働基準法の残業時間規制をめぐる議論は働き方改革の一面だ。生産性を高めることで企業の競争力や経済の発展につながる流れが好ましい。
過度な長時間労働を是正し、リフレッシュすることで、より良い成果を生むことは理想的だが、一足飛びには実現できないだろう。無理に就業時間を短縮する前に、ITを活用したシステムで、従業員に仕事の負担軽減を実感してもらうアプローチもある。
企業は従業員の業務の進行やデータ管理に多くの手間をかけている。業務内容によっては、部門ごとの縦割りが障壁になることもある。電子化も進んでいるが、現場での使いやすさは二の次ということが多いのが実情だ。中小企業ほど、そうした傾向が強い。
現在のシステムの大半はパソコンが前提。一方でスマートフォンが普及し、個人所有も含めると、いまや従業員のだれもが何らかの情報端末を持ち歩く時代だ。これを活用して、従業員が使いやすいシステムを導入するのはどうか。
スマホのアプリを上手に利用すれば勤怠管理や経費精算程度なら可能だろう。中小企業や小規模な店舗のように多額のIT投資が難しい場合でも、コストを抑えつつ手軽に使える。またアプリを介して日々の仕事の進行状況などを“見える化”できれば、業務改革の方向も考えやすくなる。
従業員にとっても、使い慣れた自分のスマホで用が足りることは歓迎だろう。便利さや面白さを実感できればモチベーションも向上する。
もちろん業種や企業によって事情は大きく異なるだろう。ただITを利益率向上だけでなく従業員への利便性の提供に活用することも、働き方改革につながると考えるべきだ。
(2017/2/24 05:00)