[ オピニオン ]
(2017/11/1 05:00)
開催中の東京モーターショーで、トヨタ自動車とホンダが電気自動車(EV)に本腰を入れる姿勢を明確にした。燃料電池自動車(FCV)に力を入れてきた両社の方針転換で、車の電動化の潮流がどう進むのか注目したい。
トヨタは2020年代前半に「全固体電池」を実用化する方針を表明した。現行のリチウムイオン電池に比べて、航続距離が2倍以上となり、充電時間も数分で完了、安全性も高まる。EVの弱点がほぼ解決されるため、市場の拡大が期待できる。
一方のホンダは、初めてEVのコンセプトモデルをブース壇上に3台並べた。2年前の前回は新型FCVが展示の目玉だった。トヨタは引き続きFCVとFCバスを出品し、“両面作戦”を進めるもようだ。
自動車の歴史をひもとくと、蒸気自動車の次にEVが登場する。しかし走行距離の短さを克服できず、内燃機関に取って代わられ、21世紀の今もガソリン車とディーゼル車が主流を占めている。
芝浦工業大学の小口泰平名誉学長は「走行距離さえ確保できれば、技術の流れとしてEVに移るのは自然だ」と話す。「EVは乗用車、FCVは大きなトルクが必要なトラックやバスに向いている」という。
車は動きだす時に一番大きな力が必要。だが内燃機関は回転数が上がらないと力が出ない。モーターは動き始めた時に一番大きな力を出すので、力学的には適しているという。
EVが大量に普及すると電力増強が必要になる。そのために化石燃料を燃やす火力発電所が増えれば、地球温暖化対策に反する懸念がある。再生可能エネルギーの普及に期待したい。
一方、FCVは水素を燃料に車自体が電気をつくるので発電所の問題は起きない。だが水素の生産や供給するスタンドのコストなどの課題がある。
自動車は部品・素材産業から販売・整備網まで裾野が広い巨大産業だ。社会からのニーズや技術の流れを的確に把握して、今後とも日本経済のけん引役であり続けてほしい。
(2017/11/1 05:00)
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