[ オピニオン ]

社説/TPP11大筋合意−早期発効が通商戦略にプラス

(2017/11/14 05:00)

2国間の自由貿易協定(FTA)では海外諸国に後れをとっている日本が、最も先進的な多国間協定で主導的役割を果たした意味は大きい。早期発効を目指すとともに、今後の日本の通商戦略に生かしてもらいたい。

環太平洋連携協定(TPP)参加国のうち、米国を除いた11カ国が新たな協定に大筋合意した。直前の千葉での高級事務レベル会合まで日本が協議をリードし、TPPの一部を凍結した形で合意にこぎ着けたことを高く評価する。

むろん、米国の不参加によってTPPの経済効果は当初期待した水準には届かなくなった。FTA戦略の遅れをTPPで一気に取り戻すという日本の思惑も、半ばしか機能しない。

それでも産業界は10月に、経団連など4団体が連名で「TPP11」の早期実現を強く求めた。協定に定める質の高い自由化は「アジア太平洋地域にまたがる企業の高度なバリュー・チェーンを制度的に支える基盤となる」からだ。

日本の通商戦略の面で、新協定はさまざまなプラスがある。ベトナムなどの新興国を含めた質の高い協定が発効すれば、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)など他の協議に影響を与える。中国などの通商政策に対しても、より広範な自由化を促す役割が期待できる。

また米国トランプ政権は自国に有利な条件を獲得しようと、日本に2国間経済協議を求めてきた。この交渉でも日本がTPPの理念や合意内容を示すことで「米国第一主義」の行き過ぎを戒めることができよう。

トランプ政権の関心は自国の貿易収支の金額に傾きすぎており、いずれ修正されるとみる通商関係者が少なくない。日本としてはTPP11の経済圏を発展させ、米国の復帰を待つ戦略が正しい。最終局面でカナダが合意に難色を示すなどの問題もあったが、新協定を確実にゴールさせてもらいたい。

今年は欧州連合(EU)との経済連携協定とTPP11の合意という通商上の大きな成果があった。日本経済の再生に向け、力強い歩みを続けたい。

(2017/11/14 05:00)

オピニオンのニュース一覧

おすすめコンテンツ

<解析塾秘伝>実測との比較で学ぶ!CAEの正しい使い方
機械工学の実験で検証するCAEの設計・評価テクニック

<解析塾秘伝>実測との比較で学ぶ!CAEの正しい使い方 機械工学の実験で検証するCAEの設計・評価テクニック

事例でわかる めっき処理の不具合と対策

事例でわかる めっき処理の不具合と対策

「設計力」こそがダントツ製品を生み出す
-やみくも先行開発を打破する7つの設計力-

「設計力」こそがダントツ製品を生み出す -やみくも先行開発を打破する7つの設計力-

よくわかる機械の制振設計
防振メカニズムとフィードフォワード制御による対策法

よくわかる機械の制振設計 防振メカニズムとフィードフォワード制御による対策法

きちんと知りたい! 
自動車低燃費メカニズムの基礎知識

きちんと知りたい! 自動車低燃費メカニズムの基礎知識

なぜ、日本でFinTechが普及しないのか
欧米・中国・新興国の金融サービスから読み解く日本の進む道

なぜ、日本でFinTechが普及しないのか 欧米・中国・新興国の金融サービスから読み解く日本の進む道

PR

カレンダーから探す

閲覧ランキング
  • 今日
  • 今週

ソーシャルメディア

日刊工業新聞社トピックス

セミナースケジュール

イベントスケジュール

もっと見る

PR

おすすめの本・雑誌・DVD

↓もっと見る

ニュースイッチ

企業リリース Powered by PR TIMES

専門誌・海外ニュースヘッドライン

専門誌

↓もっと見る

海外ニュース

↓もっと見る

大規模自然災害時の臨時ID発行はこちら

日刊工業新聞社関連サイト・サービス

マイクリップ機能は会員限定サービスです。

有料購読会員は最大300件、無料登録会員は最大30件の記事を保存することができます。

会員登録/ログイン