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社説/国立大の研究力低下−若手が安心して研究できる環境を

(2017/12/12 05:00)

国立大学の研究力が低下していると言われて久しい。指標となる論文生産数は2000年頃をピークに減少している。国立大が法人化した04年以降、運営費交付金を毎年1%ずつ削減した点に原因があるという指摘は根強い。あらためて法人制度や予算のあり方を議論すべきだ。

国立大学法人への17年度の運営費交付金は1兆925億円。「機能強化促進費」という補助金を45億円上乗せし、前年度比で0・2%増とかろうじてプラスになった。だが04年度比では12%減少している。

これに対し、研究者や研究グループの応募に対し、研究テーマの審査を経て提供される科学研究費は増額されてきた。しかし11年度をピークに減少。17年度は前年度比0・5%増とプラスに転じたが、11年度比では13%減となった。

この影響をまともに受けているのが若手研究者である。3年や5年という期限のある40歳以下の任期付き教員の割合は、07年度に39%だったのに対し、17年度は64%に増えた。将来の不安を抱え、腰を据えた研究は望むべくもない。

15年にノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章東京大学特別栄誉教授は「論文の数を左右する研究者数、研究時間、予算のすべてが減り、特に研究時間の減少が顕著だ」と指摘する。科研費の申請書類の作成や経理など雑務に追われ、文部科学省の調査では、02年に職務時間の46%を占めた研究時間は13年に35%に低下した。

ノーベル賞受賞者たちが口をそろえるのが、若い時に自由な雰囲気の中で受けた学問的な刺激の大切さだ。そして彼らの大半が、30代から40代で受賞理由となる成果を上げている。16年に生理学医学賞を受賞した大隅良典東京工業大学栄誉教授は「このままでは10年後、20年後に受賞者は出なくなる」と話す。

過去10年間で米英中韓の論文数が伸びたのに対し、日本だけが低下したのはなぜか。若い人が安心して研究に没頭できる環境を築くにはどうしたらよいのか。研究力向上のための本質的な議論を望みたい。

(2017/12/12 05:00)

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