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社説/景気回復、戦後最長へ 今こそ成長戦略を推進せよ

(2019/1/18 05:00)

日本の景気が緩やかな回復を続けている。現在の景気回復局面は戦後最長記録の「いざなみ景気」(73カ月)に並んでおり、1月後半に公表される月例経済報告で記録を更新する見通しだ。だが好景気の実感には乏しい。賃金や消費は伸び悩み、地方や中小企業はその恩恵を十分に享受できていない。政府は景気好循環が続く今こそ、成長戦略を推し進める必要がある。

2018年12月の月例経済報告では、国内の景気について「緩やかに回復している」と判断し、同じ表現を12カ月続けた。輸出産業を中心に企業業績が好調に推移しているためだ。17年度の法人企業統計によると、金融業を除く全産業の経常利益、設備投資、「内部留保」に相当する利益剰余金はいずれも過去最高になった。

一方でこんな指標もある。13―17年度の実質賃金の平均増減率は前年度比で低水準に推移しており、家計の最終消費支出は同0・3%増にとどまる。この5年の実質国内総生産(GDP)成長率は平均で同1・2%にすぎず、中長期の成長力を示す潜在成長率も1%程度で頭打ちの状態が続く。産業の新陳代謝を表す開業率は米英独仏の平均が11%であるのに対し、日本はわずか5%台だ。

19年10月に消費増税を控える政府は約2兆円の財政出動を計上し、総力戦の構えを見せる。しかしカンフル剤で急場をしのいでも社会保障への将来不安など中長期の課題がある限り、個人は支出に対して消極的にならざるを得ない。内需が拡大しなければ企業は設備投資に対して慎重になり、こうした停滞感が漂う社会では新産業を興す機運も生まれまい。

硬直化した社会課題を解決し成長力を高めるには、イノベーションが生まれやすい環境を整える必要がある。政府は成長戦略を通じ、従来にない発想や規格外の人材を受け入れ、その取り組みを後押しすべきだ。特に、革新技術を持つスタートアップ企業へのサポートは欠かせない。産業界がエンジン役を担えるような構造転換を目指してもらいたい。

(2019/1/18 05:00)

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