社説/発送電4月に分離 電力改革は不断の見直しを

(2020/2/14 05:00)

4月1日、大手電力会社の地域独占下にあった送配電事業が法的分離される。公正競争の仕組みを確立し、電力の安定供給と料金低廉化を実現したい。

送配電事業の分社化は系統運用の司令塔となる電力広域的運営推進機関(広域機関)などの設立、小売市場の全面自由化に続く第3段階で、電力システム改革はいったん完遂される。だが「安定供給の確保」「料金の最大限抑制」「需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大」といった目的の達成は道半ばだ。

送配電会社は分社後も親会社と資本関係が維持されるが、取締役の兼職禁止など行為規制はかかる。グループ内補助により卸市場で電源アクセスの取引条件が公平性を欠いたり、小売市場の競争がゆがめられたりしないよう電力・ガス取引監視等委員会には厳格な監視を求める。

電力網の利用方法の見直しも重要だ。再生可能エネルギー発電事業者は系統に接続しても出力制御の発生頻度が不透明で稼働率を予見できない。国は発電事業者が既存系統の最大限活用や円滑な資金調達を可能にするため情報開示の仕組みを整備するよう指示した。送配電会社や広域機関は精度の高い情報の開示を徹底してもらいたい。

また中小の再エネ発電事業者などが大手に伍(ご)していくには、複数社が一つのグループのように電力を融通して需給調整機能を担う「バランシンググループ」を形成し、系統運用者に払うインバランス料金を軽減する仕組みも必要だ。国はスキームのひな型づくりなどで環境整備を後押ししてほしい。

環境・安全面から火力・原子力に制約がかかる中、料金低下のカギを握るのは再エネだ。国は再エネ固定価格買い取り制度(FIT)の後継として、市場競争の仕組みを取り入れたフィード・イン・プレミアム(FIP)を、早ければ2020年度中に大型太陽光と風力などから導入する計画。公正競争下でコスト削減を図りながら再エネ導入量を拡大できるようにしたい。

ただ電力システム改革は設計通り機能するとは限らない。不断の検証と見直しが必要だ。

(2020/2/14 05:00)

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