社説/下請け施策の運用 コロナを踏まえ、実効性高めよ

(2021/5/5 05:00)

経済的弱者にしわ寄せが行かないよう、公的な監視を強める必要がある。

総務省行政評価局が「下請取引の適正化」に関する勧告のフォローアップ調査の結果をまとめた。「おおむね必要な結果が講じられた」と結論しているが、言葉通りに受け取ることはできない。

調査の元になったのは、公正取引委員会、経済産業省、国土交通省に対する2018年8月の勧告だ。下請け企業が施策を十分に理解していないだけでなく、実際に「いじめ」を受けた企業が国に相談しても、その後の対応を相談企業に知らせていなかったなどの事例を問題視し、改善を求めた。

フォローアップ調査は、勧告に対する経産省など関係部局の改善状況を確認するためのもので、今回が2回目。それによれば、事業者向け講習会や各地の相談窓口の周知をはかること、相談後の適切なフォローアップなど勧告した5項目について改善されたとしている。

脚光を浴びにくい下請け問題に対し、政府が勧告とフォローアップの目を向けたことは評価できる。しかし2年半前の勧告の効果を見るだけでは、形式にとらわれた“お役所仕事”の批判を免れない。

新型コロナウイルス感染症によって、働き方や取引形態は激変した。例えばフォローアップ調査では、関係部局が研修のオンライン化などを順次、活用していることを紹介している。しかし本来なら、研修や相談窓口の非対面化によって、施策の周知や相談対応が十分かどうかを調べるべきだった。

またコロナ禍では、緊急事態宣言に伴う取引変動が多発している。イベント中止や会食・ホテルの大型キャンセルで、下請け事業者が不利な扱いを受けることはないか。関係部局は、そう考えて下請け施策に取り組んでいるだろう。行政評価の視点でも、そうした状況を確認してほしい。

大きな社会変動で苦しむのは、常に下請け企業のような経済的弱者だ。保護施策の実効性を高めていきたい。

(2021/5/5 05:00)

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