社説/診療・介護報酬の改定 少子化対策の「財源」確保に懸念

(2023/11/6 05:00)

医療・介護従事者の処遇などを決める診療報酬と介護報酬が2024年度に改定される。岸田文雄政権は、賃上げ促進の一環としてこれらの報酬を引き上げると、少子化対策の財源確保が難しくなるジレンマを抱える。年末に明確な財源を示せるか注視したい。結局は国債頼みとならぬよう、確かな財源確保の工程表を示してもらいたい。

政府は少子化対策を重点的に行う24―26年度に、追加で年3・5兆円の財源を確保する必要がある。6月に閣議決定した「こども未来戦略方針」では、社会保障費の歳出削減や社会保険料の上乗せによる支援金制度の創設などを盛り込んだ。それでも不足する分は「こども特例公債」で賄い、28年度までに安定財源を確保するという。歳出削減が不十分なら当面は国債に依存することになり、28年度までに安定財源を確保できるかも不透明だ。年末までの短い期間で解を出せるのか懸念される。

診療報酬は、医療従事者の給与を含む「本体」と、薬の公定価格「薬価」に大別される。薬価は、政府が15年にジェネリック医薬品(後発医薬品)の使用割合8割以上の目標を掲げ、翌16年に薬価全体を抑制していく方針を決めた。薬価の引き下げと社会保障費の削減により、医療従事者の賃上げと少子化対策の財源を捻出できるかが大きな焦点だが、容易ではない。

ジェネリック医薬品は製造・検査不正による出荷の停止・調整が相次ぎ、これを発端に薬不足が深刻化している。同医薬品の安全・安心や安定供給の課題も乗り越える必要があろう。

低賃金が指摘される介護従事者は離職する者が少なくない。23年度の賃上げ率は1%台と低く、処遇改善は喫緊の課題だ。

人口減少が進む中、65歳以上は3割を占め、社会保障制度の持続可能性が問われている。デジタル化だけでは社会保障費の削減は難しい。経団連は消費増税も少子化対策の財源の選択肢と提言する。所得減税を打ち出した岸田首相は消費増税を早々に封印したが、28年度までに確保する安定財源として経済界の指摘にも耳を傾けてほしい。

(2023/11/6 05:00)

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